地方にデザインは必要か?


地方中小企業の抱える課題感は本当に様々です。

これまで、兵庫県、奈良県、岡山県、京都府、大阪府といったエリアで仕事をしてきましたが、企業によって全く違います。「新事業の創出」、「展示会のディレクション」、「WEBサイトが欲しい」、「商品を売りたい」などなど。

そういったジャンルが違う課題感を持つクライアントの方々に対してどういったソリューションを提供できるのか。どういう知見を持っていれば貢献できるのか。日々自分自身に問いかけています。

多くのクライアントの方々と仕事をする中で一つの疑問が出てきます。

「地方中小企業にデザインは必要なのか?」という問いです。

もちろん私自身デザイナーですのでwebデザインやグラフィックデザイン、ロゴデザインなどいくつかのデザインを行っています。しかし、その中でデザインというものはどれくらい中小企業の糧になっているのか。デザインというものに可能性を感じているからこそ、整理してみます。

そもそもデザインはどの段階から発生するのか?

例えば、新商品を社内で企画し仕様を決め、デザイナーに商品のデザインを発注する。こういったケースは非常に多いと思いますし、デザイナーとしてもやりやすい仕事かと思います。しかし、実際にその企業にコミットメントしようかと思った時にそうはいきません。

なぜその商品を作るのか?その意図から考える必要があると思っています。これは商品のコンセプトなどそういうことではなく、企業の方針の中でその商品が果たす役割のことを指します。こういった商品と企業全体のことを紐付けながらプロジェクトを進める。これが非常に大切だと感じています。だからこそ、その段階から参画する必要がございます。

もちろん、全てのデザイナーがそうする必要はないと思っています。

しかし少なくとも、中小企業と仕事をする際、企画の部分からチームとして参画しないとクライアントが満足する結果を残せることは少ないです。

商品のデザインではなく、プロジェクトのデザインからするようなイメージで取り組みます。

プロジェクト全体に入ることで感じるメリット

プロジェクトの全体に我々が参画することでいくつかのメリットが発生すると思っています。

  1. ・企画の内容を共に精査し、ブラッシュアップできる
  2. ・企画立案の流れを最適に表現するデザインを提案しやすい
  3. ・リリースまでの戦略を設計 / 実践できる
  4. ・製品 / サービスのマーケティング支援に活かしやすい
  5. ・他プロジェクトで得た知見を最大限反映できる

企画の内容を共に精査し、ブラッシュアップできる

一つずつ解説していきます。まずは、企画の内容自体の話です。自社で企画を考え、新しい製品を作る際に注意したい点がございます。それは「やれることをやっていないか」ということです。もちろん自社の資源を最大限活用し、良い製品を作ることは必須です。しかしその中に企業としての挑戦や意図はあるのか。そういったことを共に考え、話し合います。よそ者である我々と話すことでいつもと違う思考の流れや発想が出てくるかもしれません。また、その中で出てきたアイデアを元に企画をブラッシュアップするサポートをいたします。

企画立案の流れを最適に表現するデザインを提案しやすい

担当者とデザイナーのやり取りの中でデザイン表現に必要な要素が抜け落ちることがあります。これはオリエンをする側の問題でも、される側の問題でもございません。決まった情報だけをやり取りするというこのフロー自体に改善点がある可能性が高いです。

実際に企画を洗練させる中で検討したが削ぎ落としたもの。最後まで悩み抜いて採用した機能など、答えに至るまでに様々な可能性を考え、選抜していると思います。そういった流れを組むことで表面的ではなく、ユーザーの心に響くデザイン表現が可能になります。

ユーザーのことを考え、こだわり抜いた製品だからこそ、その背景にあるものが魅力的なデザインに繋がります。

リリースまでの戦略を設計 / 実践できる

中小企業と仕事をする中で特に必要性を感じている項目はこれです。

もちろん各企業素晴らしい技術を持っているのですが、事業形態によってはそれが世にどう広がっていくのか想像ができない状態にあるクライアントもいます。

しかし、せっかくこだわり抜いた製品です。リリースと共にしっかりと売上が出るようリリース以前より準備を行い、計画的に戦術を実行します。

手法は様々。クラウドファンディングを行うケースもあれば、既存ユーザーに告知を行ったり、企業の状態や製品の特徴に合わせたリリース計画を考案します。

製品 / サービスのマーケティング支援に活かしやすい

プロジェクト全体に入ることで特に価値を提供できると思うのは、伴走支援としてプロジェクトが成功するまでの道のりを支援できることです。

よほど綿密な事前調査をしない限り、百発百中で成功することなんてありません。

人によっては10%にも満たない新事業の成功を実現するための継続的なマーケティング支援を行います。こっちのルートがダメならこちらのルートは?など、市場や表現を少しずつテストしながら一番フィットする場所を探し出します。

そのためにはデザインを納品するだけでは足りません。デザイン表現からマーケティングの支援までを行うことで新しい取り組みが成功するまで粘り強く挑み続けます。

他プロジェクトで得た知見を最大限反映できる

様々な企業の支援を行う中で、業界は違えど共通して出てくる課題というものがあります。そういった課題に対して複数の企業を横断して支援している我々だからこそお手伝いできることが多々あります。

デザインを起点に地方中小企業に貢献する

最終的に、デザイン自体は地方中小企業に大きく貢献できると思います。

しかし、それだけでは足りない。デザインを作る前と作った後にどういうサポートを行えるか。それが地方を生業とするデザイナーに求められる一つのスキルなのではないかと感じています。

デザインを起点に、地方中小企業の力になれるようにこれからも成果にこだわっていきます。

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