事業を行う時、自分達のサービスをどうやって届けようか?どんな人に届けようか?皆さんもそういったことを考えたことがあるかと思います。
マーケティングを勉強したことがある方ならご存じでしょうが、こういった仮想のユーザーのことを「ペルソナ」と呼びます。
名前や年齢、性別などの基本的なプロフィールだけでなく、ライフスタイルや価値観、趣味なども含めて詳細を洗い出すことで今後行う取り組みが「このペルソナは受け入れるのか?」という判断ができるようになります。
しかし、このペルソナを設定する時に最も意識しなければならないことがあります。
それは、「ペルソナを空想で作らないこと」です。
とは言っても皆さん事業を始める時に「〇〇のような人に使って欲しい」、「△△な人が好きそう」という願望があるかと思います。とはいえ、それがそのままペルソナになるでしょうか?
ほとんどの場合、ペルソナにはなり得ないでしょうそれはなぜか?追って見ていきましょう。
ペルソナはそもそもなぜ作るのか?
精度のあるペルソナを作るには、そもそもペルソナを作る意味を振り返らないといけません。
でないと先で述べたように、ただの願望がペルソナにすり替わり、誰の為にもならない事業になってしまう可能性もございます。
そうならない為に改めてペルソナの意味を考えてみましょう。

上記のようにまとめたものを一般的にペルソナと呼ぶことが多いです。
ご覧になって既に気づかれているかも知れませんが、恐らくあなたが必要とする情報だけでなく、かなり様々な情報が入っているかと思います。
例えばあなたがwebメディアを立ち上げようとしている場合、ペルソナは普段どんなメディアを見ているのか?それさえ分かればあなたのwebメディアのコンセプトを立てられそうですよね?
いまから少し回りくどい話をします。できれば面倒にお付き合いください。
小学生の頃、ご自身か周囲でプロフィール帳を交換する文化がありませんでしたか?新学期が始まった頃、活発に交換がなされていたかと思います。
そして私たちはプロフィール帳を見ながらお互いのことを理解し、交流を深めていきますよね。
ペルソナってそれなんです。
プロフィール帳でも私達が望んでいる答えがそこに書かれていないとしても何も違和感をおぼえず、「この人はこういう人なんだな」と認識するかと思います。
ペルソナもそのように、私たちの願望を詰め込むのではなく、リアルにその人のことを考えた時にこの人はどんな人だろう?それを徹底的に考え、この人に向けた事業を贈り届けます。
プライベートでどなたかにプレゼントを贈る時に単一の理由で考えることはないかと思います。自分が贈ろうと思ったものでも、「いや、これはこの人自身が好きだと公言しているから他の人もプレゼントしているかも?」、「誕生日にこんな高いものを贈ったら逆に負担かな?」等々。
単に贈りたいと思ったものを用意する前に、様々な周辺環境を考えると思います。
そこでペルソナが活きていきます。
webメディアを届けるという目的の周辺にある、そのペルソナが普段考えていること。
どんなタイミングで検索するのだろう?どんなことを検索するのだろう?どんなテイストのものが好きなのだろう?このような情報を考えて、最終的にあなたの事業のイメージが固まっていくのです。
ではこの複雑な情報を持つペルソナはどうやって考えていけばいいのでしょう?
ペルソナの作り方
ペルソナを考えるにはいくつかの方法がございます。複数試してみて使いやすい方法を見つけてください。もちろん今から紹介するものだけが全てではございません。様々な視点でペルソナになり得る情報が探りましょう。ここでは一般的に活用されるいくつかの方法をご提示します。
データ収集/分析
もしあなたが全く新しい事業を立てるのではなく、リブランディングに近いことを行う場合は過去に蓄積されたデータを改めて見てみましょう。これまでサービスを利用してくださったユーザーの年齢、性別、住所、購入単価、何を購入しているのか。ある程度定量的なデータを抽出することで方向性が少しずつ定まってきます。
もし導入されているのであれば、グーグルアナリティクスも見てみましょう。ここでは先に述べたような年齢や性別が分かるだけなく、ユーザーがどのページをどの順番で推移したのかも明確に分かります。また、あなたのサイトのどのページが最も見られているのか、どんな時間に見られているのかを振り返り把握することでペルソナの理解が進みます。
インタビュー
データを集めて理解を深めるのはもちろん大事なのですが、最終的にはインタビューを行うことをおすすめいたします。これはどちらか一方を行うのではなく、データ収集でアタリをつけながら、最終の精度の高い情報を実際の人物に聞きにいくという流れが理想です。
インタビューといっても2-3人程度にじっくり聞くものもあれば、あらかじめ用意した設問に対して大人数からの回答をもらうアンケート形式もございます。
こちらも自社で活用できそうな方をお試しください。
情報収集もそろそろ終盤、ここまできたら集めて来た情報を整理しましょう。イチから始めるのが難しい場合は、ペルソナシートの項目を穴埋めするように考えていくのも手だと思います。
ただ、ここで気をつけていただきたいのが、ペルソナのことを深く理解するという姿勢を忘れないことです。項目を埋めるのが大切なのではなく、ペルソナを理解するために。そのためにもし埋めれない箇所があったら飛ばして進めましょう。誤った情報でペルソナを設定するよりもはるかに正しい判断です。
作らないに越したことはない、ペルソナ
ここまで長々とペルソナを作る必要性と作る時に意識して欲しいことをまとめてきましたが、実はある一定の条件さえ満たしている場合には作成する必要がございません。
基本的にはどんな事業においても作ることが多いペルソナを「作らなくていい場合」とはなんでしょう。
それは次の2点です。
・自分自身がユーザーであり、自分が欲しいサービスを生み出す場合
・自分が深く理解している知人がユーザーである場合
自分自身がユーザーであり、自分が欲しいサービスを生み出す場合
最も好ましいのは、これからあなたが世に送り出すサービスの想定ユーザーがあなた自身であるケースです。一般的にはこれは世に受け入れられそうとか、ニーズがあると判断してリリースするかと思いますが、このケースはサービスの中心にユーザーとして自分が存在し、業界に対する不満、欲求があった上でサービスを考えるので納得性も高く、直感が品質に繋がりやすいケースと言えます。
ここで大切なのは「自分が作りたいものではなく、自分が求めること」であることです。
自分を最も身近なユーザーと捉え、サービス設計者である自分と、サービス利用者である自分の行き来を行うことで別途ペルソナを作成する必要もなく、直感にしたがってサービス設計を行うことができます。
とは言っても自分自身がサービス利用者であるパターンは多くはありません。だからこそ一般的な作成のフローをたどり、ユーザーの心理や周辺状況を理解し、ペルソナを作るのです。
自分が深く理解している知人がユーザーである場合
次のケースは知人がユーザーである場合です。あなたのご家族、パートナー、気心の知れた親友。そういった人たちがユーザーになり得るサービスの場合、ペルソナを作るのではなく、直接その人達に届けるという考えでサービスを設計することも一手です。
自分がよく理解している人をペルソナの代わりに置くことで心理状態や周辺環境等のリサーチ、検討が必要なくなる上に、開発段階で有力なフィードバックを得ることができるでしょう。
上記2つのケースは全ての事業、サービスに当てはまる分けではございません。
また、そういったケースが身近にあるからといって一般的なリサーチを行わなくていいということにはなりません。
しかし、冒頭に述べたようにペルソナを作成する意図が「ユーザーの理解を深める」ことだとしたら既に理解がある自分自身、もしくは身近な方々を頼りにしてみるものいいかもしれません。
もちろんペルソナは設定するだけではなんの効力も持ちません。これを用いてチーム内のディスカッションや、サービスの見直しに役立てていただければと思います。